長坂 大

長坂 大

京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科教授

DAI NAGASAKA

長坂 大

設計ポリシー

建築家はシェフに似ている

建築家の仕事は結婚披露宴の料理を依頼されたシェフに似ていると思います。
一流のシェフならば、料理の希望や予算、招待客の人数、季節、会場の様子などを丁寧に聞いて、
来賓が喜ぶメニューを提案するでしょう。逆に料理のつくり方や細かい品目を聞くことはありません。それはプロが提案することだからです。

建築の設計は、機能的秩序・社会的秩序・環境的秩序の3つを達成することだと考えています。
使いやすく、丈夫であることはもちろん、敷地や近隣の状況をふまえ、その時代に適した内容であることを心がけています。

略歴

1960
神奈川県生まれ
1982
京都工芸繊維大学住環境学科卒業
松永巌・都市建築研究所
1985
アトリエ・ファイ建築研究所 原広司(建築家/東京大学名誉教授)に師事
1989
京都工芸繊維大学造形工学科助手
1997
学位論文「漁村集落における屋外空間の研究」 博士号取得(東京大学)
日本建築学会会員
2003
奈良女子大学人間環境学科准教授
2008
京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科教授
現在に至る

建築実績

  • 住宅50件、共同住宅、歯科医院、オフィスビル等
  • 知的障害者を中心とする社会福祉法人 南山城学園 一連の建物
居住棟/欅
居住棟/魁
居住棟/櫟
居住棟/翼
デイサービス/あっぷ
地域福祉支援センター
居住棟/円
診療所
厨房棟
多目的活動棟/彩雲館

有馬高原病院保育園(仮称)

この保育園の建築について説明をするには、まず現在の有馬高原病院全体の建て替え計画について説明しなくてはなりません。その第一歩として保育園の計画が始まったからです。

現在有馬高原病院には、精神科を中心とする病院の他に、老健施設、特別養護老人ホーム等2万平米近い施設があり、これら大半の建て替えと、新しい活動を支える施設の新築が求められました。この計画の基本方針は、「高原」の名前にふさわしい高台からの眺望を活かした施設とすることです。平坦に加工された敷地最上部南側の縁からは、緑豊かな谷と池を見下ろすことができ、その背後に広がる六甲山系を見渡すことができます。リゾートホテルから眺めるような眺望といってもいいでしょう。現在の建築群は北側に建てられているため、今後は敷地南側に新しい施設を建てていくことで全体方針が決まりました。

 この保育園はその新築・建て替え計画の第一弾として計画されています。上記方針に加え、美しい既存樹木の位置関係によって建物の位置や形状を決め、緑豊かな保育園にしようとしています。小さな高低差を活かしたスキップフロアの屋内空間と、南側のウッドデッキ、そして高木の並ぶ北側園庭は、子供達に楽しい生活環境を提供できると信じています。