都心のビルで雨音を感じられる自然環境をつくる
西新宿の青梅街道沿いに建つ、事務所兼用の二世帯住宅。地下1階、1階はテナントスペース。2〜3階はクライアントの事務所、4階は叔母の住居、5〜7階がクライアントの住居としている。もとは3階建てのビルで、6〜8階のビルに囲まれていた。それは室内に居ると外の天気も分からないほどの薄暗い環境。老朽化のための建て替えで要望されたのが、「子供たちに雨の音を感じさせてあげられるような」自然環境の取り込みと外環境への眺望だった。
窓と部屋の間に自然をとりこむ中間ゾーンをもうける
外部環境を取り入れられるのは、道路に面した前面と、天空に面した屋上。前面は全部ガラス張り。この開口部分と居室の間に中間ゾーンを設けることで、自然を取り込むことに成功した。ある部分は吹抜けに、ある部分はサンルームのように、そしてある部分は直接屋外へと対峙することができる。居室にカーテンが下りていても、ここだけは常に自然光を満たすことができ、雨が降ると心地良い雨音に包まれる。
部屋の奥には吹抜けの光井戸
天空からの光や雨音は、吹抜けを通じて下階へ伝えている。吹抜けは階段室周辺と建物の一番奥の壁面に沿わせて設置して、いくつかの光の井戸ができあがった。最下階から見上げると森の木漏れ日のよう。このような光井戸に面して個室の窓も設けて、奥の部屋であっても外の気配が感じられるのだ。
「新築するときには子供たちに雨の音を聞かせてあげられるように。一方で個室をしっかりつくりたい」という希望を吹抜けのほぼ全面の窓、内階段や吹抜けのたくみなしつらえで窮屈にならず叶えられました。