「練馬のアパートメント」は都内の駅前通りに建っています。RC7階建てのなかに賃貸住戸20戸と、最上階にオーナー住戸が計画されました。駅前通り沿いには集合住宅が並び、その裏側から戸建て住宅地が始まる、いわば集合住宅エリアと住宅地の境界に建っています。
各住戸に、戸建て住宅の庭のように大きなテラスを用意しました。部屋よりもひとまわり大きなテラスです。また、メゾネットには吹き抜けテラス、角部屋にはL型テラス、細長い部屋に並列するロングテラス、といったように個性的なテラスをインテリアに併置しました。さまざまなテラスは、街を見渡したり、見下ろしたり、空を見上げたりと、部屋と街のさまざまな繋がり方を用意しています。また3方角地という敷地条件を生かして、全ての壁面に穴が開いた集合住宅らしからぬ外観になりました。
これらの大きなテラスは街に面していて雨風も入ってくるので、自分のもののようで、自分のものになりきらない空間です。自分が使いこなしてみようという、外での生活を実践する主体性が住人に求められる。そのような、いわば住む人間を試すテラスの空間を介して、住人が都市に向き合い、都市生活をポジティブに感じられるような集合住宅になればと考えました。