ミサワホームAプロジェクトの一環として、ミサワホームと西沢事務所が共同設計した、森本邸に続く2件目の住宅である。森本邸では、パネル工法と在来工法の2つの異なる工法を用いているが、今回はMJwoodというミサワホーム独自の木造軸組工法を用い、建物全体を商品化住宅として計画した。
敷地は、閑静な郊外住宅地に位置し、北側の用水路沿いの道路と東側の道路の2面に接道した異形の旗竿地となっている。建主は、LDKに加え、3つの子ども部屋、テレワークをする部屋、読書室、和室、納戸など、多くの個室と子どもたちが遊べる庭を望んだ。多数の部屋を持つ家のイメージから、部屋が集まって立体化する案が生まれた。形は従来的な直方体ではなく、凹凸した自由な外形となった。さまざまな敷地に応用可能という点で商品化住宅のテーマに適していると考えた。
空間構成としては、13個の異なる大きさの部屋を異形敷地に合うように雁行させたり、環状に並べたりすることで、庭と混ざり、内外に居場所をつくっている。部屋同士は上下左右につながり、続き間のような2室1室の関係を生んでいる。子どもたちが巣立った後は、個室群がつながり環状のリビングとして使えるなど、時間的な機能の変化を想定している。各部屋は複数の開口をもち、部屋群を貫くように並列して開口を設けた。それにより、どの部屋にいても庭を感じ、 光が差し込み、風が通り抜ける構成とした。ハウスメーカーとアトリエの協働により、性能が担保された安定した空間でありつつ、子どもたちの成長や生活に応じて、自由に変化していける風通しの良い住宅を目指した。