東京都内の住宅地に建つ、夫婦と子供一人のための住宅です。敷地は100平米ほどの角地で、建蔽率が50%と限られていたため、建物だけでなく、庭をどうつくるかということも意識しました。
敷地いっぱいに建物を建て、半分をリビング、もう半分を庭、庭の下にベッドルームや水回りなどのプライベートな半地下の空間をつくっています。地面より1m高い位置に庭がある。リビングのソファの高さに庭が広がる。ベッドや浴槽からは横たわりながらトップライトを介して頭上の庭を眺める。色々な向きと高さをもつ数種類の開口と2つの階段が、リビング/庭/ベッドルームの3つの空間を少しずつ繋いで穏やかに混ぜ合わせて、どこにいても地面や空との繋がりを感じられる住宅になっています。
また家具や設備が設えられた庭も生活の一部になると同時に、この空間が、密集した住宅地を少し明るくするようなものになればと考えました。
リビングは木造で、四方向に十分な空きを確保して、パビリオンのようにスッと軽やかに街に現れています。室内は天井を高くしているため、大きな窓からは空が見え、風が流れ、外観の印象そのままの軽やかで大らかな空間になっています。
半地下のベッドルームはコンクリート造で、前面道路を歩く人の目線の高さより下にあるため、誰もがほとんどその存在に気付かないようなプライベートな空間になっています。室内は、地中にいながらトップライトを介して空を見上げる、動物の巣穴のような静かで明るい空間です。
地面より1m持ち上げられた庭は、前面道路から程よく独立した存在になり、明るい外での生活を可能にします。
そうした3種類の空間が、1つの住宅に束ねられています。